日本の底力を引き上げる──
『三方良し』を実現する新たなDX支援スキームを構築

決済ビジネス推進部 営業推進第一Gr
2002年入行(新卒)
瀬戸山 巧一

「三菱UFJ銀行は、トップバンクとして社会課題を解決する責務がある」。決済ビジネス推進部・営業推進第一グループで次長を務める瀬戸山 巧一は、その想いから提携会社と連携して企業のDXを支援する新たなビジネススキームを構築しました。瀬戸山が大切にする『三方良し』の精神、そして仕事の醍醐味とは。

銀行は『三方良し』を作り出して、初めてビジネスが動き出す

──三菱UFJ銀行には、決済関連のサービスを扱う部署が2つあります。ひとつは、決済制度や事務管理対応、新たな決済商品を立ち上げる決済企画部。もうひとつが、瀬戸山の所属する決済ビジネス推進部です。決済ビジネス推進部は、営業担当者が活動するための企画推進やマーケティングなどを行う部署で、瀬戸山は次長として企画を担当しています。

瀬戸山「私が率いる営業推進第一グループの営業企画ラインには、現在40名ほどのメンバーがいて、大きく3つのチームに分かれています。まず、2022年4月に立ち上げたDX支援スキームを担当するチーム。ここに約半数のメンバーが携わっています。新たに始めた業務のため、私もPMO(Project Management Office)のような立場で現場に入っています。

次に、中期経営計画の各種目標に向かってどのようなステップを踏んでいるか計数面を中心に経営層宛に分析・報告するチーム。そして、決済関連のサービス・商品群の中でも特に専門性が高く、期待収益額も大きい商材を担当するチームです。」

──営業の実務遂行部隊のために、新たな企画を立ち上げていくのが瀬戸山のミッション。新しい挑戦をしていく上で、一プレイヤーとして、そしてマネジメントの立場としても大切にしていることがあります。

瀬戸山「銀行は公共性の高い企業ですから、自分たちだけが儲かれば良いというスタンスではいけません。銀行だけでなく、お客さまにとっても社会にとっても良いという『三方良し』の世界観を作り出して、初めてビジネスが回りだす。これは、チームのメンバーが業務上でさまざまな判断に迷ったときの拠り所として常に伝えていることです。あなたのその判断は『三方良し』になっているか?と。
また、銀行は銀行法に基づいて業務を行うという特徴があります。そのため、従来にない切り口でマネタイズする新たな企画立案時は、関連規則も含めて抵触しないかといった確認は勿論のこと、銀行内の利益相反者、MUFG各所への無影響確認、監督官庁である金融庁や日本銀行、公正取引委員会といった外部のステークホルダーとの事前調整が併せ必要です。
その際は、広報部、法務部、リスク管理部署といったさまざまな専門知識を持ったメンバーと喧々諤々のディスカッションを経たうえで、MUFGとして万全のビジネスロジックを構築することが最も骨の折れる仕事です。けれども、そこが最大のやりがいでもあります。」

「われわれの力で日本のDXを底上げしよう」。
仲間と誓い合った言葉が原動力に

──瀬戸山が新卒で入行したのは2002年。3年ほど支店で融資担当をした後、国内マクロ経済の予測分析業務を行う企画部経済調査室へ異動します。

瀬戸山「経済調査室での仕事は、GDPや為替・金利の数字を予測すること。計数の読み方、数字の評価の仕方、文章の書き方を徹底的に教え込まれたことで、事実を踏まえて先行きや見通しをロジカルに第三者に伝えるという、あらゆる業務に共通して必要な力を身につけることができました。」

──2007年には、システム統合推進部へ。前年に東京三菱銀行とUFJ銀行が合併したことを受け、組織を統合するための企画業務が瀬戸山のミッションでした。

瀬戸山「システム統合推進部といっても、システムだけを統合するわけではありません。社内ルールもカルチャーも違う銀行が一緒になったわけですから、むしろシステム以外の部分をどう融合させるかが最大のミッション。何を取り入れて、何を捨てるのかを決めた上で、実務に実装するところまで落とし込むのが私の使命でした。

この業務を担当した3年間では、組織の意思決定はどのようになされるものか、どうすれば人は動くのかをとことん勉強させてもらいました。」

──その後、3年間の支店勤務を経て、2012年に法人業務部へ異動した瀬戸山。法人業務部では、当時全国に2,500名ほどいた営業担当者の中期経営計画の策定に加え、推進管理を担う。
ここでは拠点別・収益項目別の目標設定や主要施策を立案するほか、当該施策を如何に現場に浸透させるかに苦心したという。その際、大切にしていたことは、組織を能動的に動かすこと。決して本部から現場へ上意下達に映らぬよう、営業現場との共感性や親和性を強く意識し“伝える力”を磨き続けた6年間だったと振り返ります。

現在携わるDX支援につながる転機となったのは、2018年のデジタル企画部への異動。瀬戸山が担当したのは、オープンAPIという、銀行の顧客情報を外部の事業者に連携させることで新たなビジネスを生み出す仕事でした。

瀬戸山「お客さま情報を第三者に連携するということは、非常にハードルの高いことです。当然、お客さまの事前了承を得る仕組みを構築する必要があるほか、情報漏洩などの有事を懸念する金融庁への事前対策説明には相当苦労しました。加えて、お客さま情報を受け渡す先の外部事業者に対しての手数料水準の妥当性についても公正取引委員会へ説明するなど、MUFG外の関係者調整に奔走し、なんとか新たなビジネスの創出実現にこぎ着けることができました。
ここで強く意識したことは、トップバンクである当行の動きは競合他行から見られている点です。つまり、当行が監督官庁と擦り合わせた各種ルールや手数料水準が新ビジネスのスタンダード基準になるため、ある意味、業界を背負って説明をしているという強い使命感をもって監督官庁には対峙しておりました。その際も大事にしていたことは、『三方良し』の精神で、これがあったからこそ、各所から理解が得られ、ビジネス化に繋げられたと思っています。」

──また、デジタル企画部の仕事と並行して、一橋大学大学院でDXの勉強をしていた瀬戸山。定義が曖昧になっているDXの本質や、ビジネスに落とし込む方法などを学ぶ中、仲間たちと熱く語り合ったことが、今に続く原動力になっています。

瀬戸山「同期生は、一部上場企業のDX担当役員など、30社から集まったメンバーでした。名だたる企業のキーパーソン達と、『DXが遅れている日本を、われわれの力で底上げしよう。この30社を、海外にも負けない企業群にしよう』と誓ったのです。」

ITベンダーが銀行に出向。新たなスキームで真のDXニーズを満たす

──オープンAPIで新規ビジネスを成功させた瀬戸山は、仲間たちとの誓いを胸に、自ら希望をして2020年に決済ビジネス推進部に異動。そして企画したのが、現在注力するDX支援スキームです。その背景には、コロナ禍の影響で変化したお客さまのニーズがあります。

瀬戸山「デジタル技術を使って事業改革や業務の効率化を進めたいというニーズが顕著に現れてきたものの、銀行員の知識や銀行の商品だけではそのニーズを満たすことができませんでした。

特に、売上高100億円から500億円規模の企業は、DXに予算を割きたいと思っているものの、どこに相談すればいいのか、何から始めればいいのかわからないという課題を相応に抱えていたのです。

お客さまの真のDXニーズに応えるためには、経営課題の根源を見つけ、解決策を整理して、実行するための商品をコーディネートする人材が必要でした。但し、そのような人材は銀行におらず、お客さまのシステムや業務フローに精通し、デジタルツールで解決策が示せるDXの専門知識を持ったパートナーとの連携が不可欠だと考えたのです。」

──そこで、DXの経営課題のソリューションをもつ複数の企業に声をかけ、DXを支援するコンソーシアムを立ち上げた瀬戸山。DXをサポートする企業は数あれど、この企画の最大の特徴は、“コンソーシアム参画企業の社員が三菱UFJ銀行に出向する”という形をとったこと。その狙いを、こう話します。

瀬戸山「銀行員という私たちと同じ立場になってもらうことで、2つの垣根を越えることができます。1つめは、情報の垣根。私たちが見ているお客さまの生のお悩みをその場で共有、場合によっては、即座にお客さまへDXソリューションをご提示できるため、格段にスピード感が違います。

2つめは、お客さまとの精神的な垣根。お客さまからすれば、銀行は日頃付き合いのある身近な存在ですから、ややもすれば自社のプロダクトアウト(あまりニーズを踏まえず商品提示ありき)でやってくるかもしれない企業の担当者が来るよりも、ぐっと安心感があり、自身の経営課題を開示しやすいと仰っていただけるお客さまが多くいらっしゃいます。」

──また、マネタイズポイントもこのスキームの特徴であり、ビジネスを拡大させるためのミソだと言います。

瀬戸山「たとえば、DXサポートをコンサルティング会社に依頼すると、システムを実装する前にコンサルフィーが発生することがありますが、私たち銀行は相談には無償で対応します。では、われわれがどこで収益を上げるかというと、ソリューション提供企業がお客さまと契約に至ってはじめてソリューション提供企業側からご紹介料をいただきます。つまり、相談者のお客さまからは一切、当行は手数料を頂戴しないスキームなのです。

このスキームであれば、お客さまは気軽にDXの経営課題を相談して頂けます。おかげさまで、2022年4月にスタートしてから、1年半で2,500件以上のご相談をいただいております。」

トップバンクとして、日本のDXが急速に進む起爆剤になる

──社員5名でスタートしたDX支援チームは、現在は20名でも人が足りない状態に。当初は、アグレックス、TIS、凸版印刷、トッパン・フォームズという4社だった提携企業も、18社まで拡大しています。しかし、解決すべき課題も出てきました。
瀬戸山「『三方良し』を実現するためには、私たちもしっかりと収益を上げていかないといけません。
現状の課題としては、お客さまの課題解決には基幹システムの再構築など、大型案件であればあるほどクロージングまでに相応の時間を要するため、お客さまのニーズをキャッチする営業担当者を更に増やし、鮮度と確度の高い数多くの案件をよりスピード感をもって提携企業へ繋げることが必要だと感じています。
加えて、お客さまのニーズを受け身の姿勢ではなく、銀行が先読みして仮説提案をご提示、潜在ニーズを掘り起こしていくといった積極的なアクションが求められていると考えます。」

──ただ、まだまだ課題はあるとはいえ、「本スキームが日本のDXが急速に進む起爆剤になるのではないか」と瀬戸山は十分すぎる好感触を感じています。

瀬戸山「私たちは日本のトップバンクとして、社会課題を解決していかなければならない。三菱UFJ銀行が新しい業務を始めるということは、ほかの金融機関も追随するということ。最初の見本になることを常に意識しながら仕事ができるというのは、とても働き甲斐があります」

──そのためにも、瀬戸山とともにDX支援に取り組む仲間が必要です。

瀬戸山「新しい事業なので、もちろんマニュアルはありませんし、現在は自分たちで前例を作っていく段階ですから、進め方に誰も正解を持ち合わせておりません。それでも、自信をもってブルドーザーのように突き進んでいくような人、自主性や挑戦心に溢れた人に、ぜひチャレンジしてもらいたいと思っています。

デジタル知識やスキルは最低限あればいい。もちろん、中途入社だからといって、キャリアの上限を設けるつもりもありません。DXという言葉を知っていれば、あとは私が育てますから。

今なら、銀行内外の商品だけではなく、さまざまな提携企業の商材に関する深いナレッジも習得できますから、かなりお得ですよ(笑)」
──冗談めかしながらも、その眼差しには「日本の底力を引き上げる」という熱い想いを秘めている瀬戸山。『三方良し』の精神で、社会課題の解決に挑み続けます。

※ 記載内容は2023年11月時点のものです

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