持続可能な社会に向け、ファイナンス面から
グローバル課題の解決に取り組む。

ソリューションプロダクツ部
環境社会リスク管理グループ
2008年入行(キャリア)
柴土 真季

経歴

法科大学院国際関係法専攻および公共政策大学院国際政策専攻。大学卒業後、公益財団法人でアジアを中心とした途上国の結核対策支援に携わる。約5年半の勤務を経て、米国の大学院に進学。国際関係法および国際政策について学んだ後、2008年に三菱UFJ銀行に入行。ストラクチャードファイナンス部、サステナブルビジネス部などを経て、2013年より現職。

国際協力の現場を経験し、開発援助の限界を痛感。
民間金融セクターの役割に可能性を見出す。

大学卒業後は、保健医療の分野から国際協力に携わろうと、公益財団法人で途上国の結核対策支援に従事しました。現地の政府やNGOと協力し、事務方として結核感染者の治療追跡プロジェクトを支援しました。約5年半の実務を経て、途上国開発について、より専門的な知見を深めようとアメリカの大学院に留学。国際関係法や国際政策について学ぶ中で、途上国の社会的・経済的格差を解決するには、公的機関による開発援助だけでは限界があると痛感しました。開発援助における資金面やスピード面の課題に対応する上で、民間企業の力は不可欠であり、その中でも特に金融セクターが果たす役割の重要性を感じました。さまざまなファイナンス手法を持つ金融機関であれば、あらゆる産業にボーダーレスに関与でき、国際的な格差解決に貢献できると考えました。中でも、途上国を含めて海外拠点が多く、プロジェクトファイナンスの領域において、常にリーグテーブル上位にいる三菱UFJ銀行であれば、途上国におけるさまざまな開発ビジネスに携われると思い、入行を決めました。

大型案件と環境・社会リスクはコインの表と裏。
裏側にある「負の影響」に真摯に向き合う。

私は現在、ソリューションプロダクツ部環境社会リスク管理グループに所属しています。この部署では、当行が担当するインフラ整備や資源開発といった大型案件の融資決定に先立ち、環境・社会デューデリジェンスを行います。具体的には、プロジェクトが地域社会や周辺環境に与える「負の影響」について、事業者であるお客さまや当行の営業担当者と協力し、国際基準やMUFGの独自基準に基づき評価します。各案件の評価では、必要に応じて環境・社会リスクを回避・緩和する対策が講じられ、融資実行後も継続的なモニタリングが行われているかを確認しています。インフラ整備や資源開発などの大型案件と環境・社会リスクは、いわばコインの表と裏です。当行がビジネス領域でトップを走る以上、その裏側にある環境・社会リスクにも真摯に取り組む責務があります。常に新しい知識を吸収する姿勢が求められるため、国際的な環境・社会配慮の枠組みに関する議論や交渉の場にも積極的に参加しています。そこで新たなガイドラインの紹介や、パネルディスカッションへの登壇など、自ら発信もしながら日々知見を広げています。また、当グループは、赤道原則(※1)やポセイドン原則(※2)など、当行が採択している国際的な枠組みの運用業務にも従事しており、私は当行代表として赤道原則協会(※3)に参加し、国内外の署名金融機関と共に赤道原則の運用・推進に携わっています。

※1 赤道原則(Equator Principles):プロジェクトに起因する環境・社会リスクと影響を、体系的に評価・管理するための金融機関による自主的な枠組み。2023年4月時点で全世界138社が採択している。
※2 ポセイドン原則(Poseidon Principles):海運業界における気候変動への取り組みに対し、金融面から貢献するための国際的な枠組み。2023年4月時点で全世界30社が参画している。
※3 赤道原則協会(Equator Principles Association):赤道原則署名金融機関で構成される団体。

赤道原則の改訂作業で各国メンバーと対話し、
協会を二分する議論の取りまとめに尽力。

特に印象的だったのが、2016年に赤道原則協会の運営委員会メンバーとして、赤道原則第四版の改訂作業に携わったことです。私は社会リスク・人権分野のCo-Leadを務め、改訂案を提示しましたが、そこでは協会を二分するほど白熱した議論を経験しました。論点となったのは、先住民族の権利保護に関する国際基準「自由意思による、事前の十分な情報に基づく同意(FPIC(※4))」を新たに組み込むか否かです。背景には、アメリカで先住民族による反対運動がメディアからの注目を集めた石油パイプライン建設プロジェクトがありました。このプロジェクトを契機に、一般市民や金融機関から、世界中のすべての案件でFPICの達成を評価基準として採用すべきとの声が上がりました。しかし、すべての案件でこの基準を適用することは現実的に難しいとする見方も根強く、協会内で激しい議論が繰り広げられました。私はCo-Leadとして、メンバーに個別に連絡を取り、双方が歩み寄れる点を模索しました。そもそも先住民族をどう定義するのか、何をもって同意を得たとするのかなど、あらゆる角度から丁寧に議論を重ねました。通常業務の傍ら、世界各国にいるメンバーと時差を考慮しながらやりとりをし、議論を収束させるまで約2年半の歳月を費やしました。最終的には、国際基準を踏まえつつ、先住民族の権利保護に関する各国法律も尊重した評価基準とすることで議論が落ち着きました。赤道原則のような世界共通の枠組みは、金融機関同士が協力し合うためのツールでもあります。改訂作業を通し、各国メンバーの意見を取りまとめる難しさを感じつつ、持続可能な社会の実現に向け、金融機関が国境を超えて連携することの重要性を改めて実感しました。

※4 FPIC:Free, Prior and Informed Consent

04.
時代の変化にしなやかに対応できる環境で、
自分ならではの専門性を存分に発揮する。

MUFGには、さまざまな分野のプロフェッショナルが在籍しています。そのため、時代の変化を機敏に捉えることができ、世界有数の巨大な組織にもかかわらず、しなやかに変化していると実感します。MUFGならではのグローバルネットワークや顧客基盤、行員のプロフェッショナリズムを活用することで、環境・社会配慮に優れた開発案件に携われる機会は多々あります。また、チャレンジングな案件に対しても、各メンバーがそれぞれの専門性を発揮することで、さまざまな視点から課題解決に取り組むことができます。
サステナブルファイナンスは、半年前の常識が通用しなくなるほど、進化が著しい領域です。そうした変化の速い環境の中で、これまで培ってきた専門的な知識・スキルを活かしたいという方にはぴったりのフィールドが広がっています。持続可能な社会の実現に向け、新たな視点をもたらしてくれる仲間との出会いを楽しみにしています。

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