AIやデータ分析で市場部門に革新を──
市場系データサイエンティストたちの挑戦

メガバンク・三菱UFJ銀行の中にありながら
まるでベンチャーのようなマインドを持つ──
それが、市場企画部市場エンジニアリング室
デジタルICT推進グループに属する
イノベーションラインという新チーム。
統括を務める堀金 哲雄と、
データサイエンティストとして活躍する松本 修伍が、
仕事の魅力や今後の展望を語ります。

Profile

堀金 哲雄
市場企画部 市場エンジニアリング室
(2012年入行)
松本 修伍
市場企画部 市場エンジニアリング室
(2023年入行)

AIや機械学習、データ分析を活用して
市場業務の高度化・効率化をめざす

──堀金と松本が所属するイノベーションラインでは、為替やデリバティブといった金融商品を提供するマーケットの領域やバランスシートの運営をつかさどるトレジャリー領域で、AIや機械学習、データ分析を活用して業務の高度化・効率化に挑んでいます。

堀金金融機関は、商品の取引データやマーケットデータ、契約書のような自然言語データ、取引における電話の音声データなど、実に多様で膨大なデータを所有しています。こうしたデータを有効活用することで市場業務をサポートし、新しいソリューションを提供していくことが私たちデータサイエンティストのミッションです。
最近の一例を挙げると、市場部門の為替セールスチーム向けに、お客さまの取引状況などを活用したレコメンド機能を開発しました。銀行内にあるデータは機密性が高く、なかなか外部に出せないことが多いため、行内では珍しく内製での開発を進めています。

──松本は、この「為替セールス向けのレコメンド機能」を開発・運用するメンバーの1人。その他にも、デリバティブ取引の際のCSA担保所要額の最適化や、トレジャリー業務における預金・貸出ギャップの予測モデルの開発などを担当しています。

松本市場業務のAI・データ分析による高度化に加えて、部門全体のDX推進にも取り組んでいます。たとえば、個人/部署単位で所有している業務のノウハウやナレッジの管理もデジタル技術によって最適化できるはず。それを実現するために、現在は市場事業本部の各部署においてどういった課題があるのかをヒアリングしながら、解決方法の提案を進めている段階ですね。

──一方の堀金は、イノベーションラインに所属する約10名のメンバーを束ねるリーダーであり、チームマネジメントも担っています。

堀金私の役割は主に、メンバーの皆さんとコミュニケーションをとりながら案件の進捗状況を把握し、ボトルネックがあればその解消のために関連部署、マネジメントを巻き込んで方向性を検討したりすること。加えて、AIや機械学習──最近であればChatGPTに代表される生成系AIなど、移り変わりが早い最新技術を業務にどう活用できるかを常に考えています。

大企業の中でもベンチャーのような
マインドを──
チームバリューに込めた想い

──堀金がイノベーションラインを立ち上げたのは、入行10年目となる2021年のこと。そのきっかけとなったのは、2017年から2年間、ニューヨークのMorgan Stanleyへの出向でした。

堀金市場事業本部では、2017年ごろからAIやデータサイエンスを用いた業務改善への取り組みが始まったのですが、行内に知見を持った人が少なく、どうしても外部のパートナー企業に意見を求めることが多かったんです。外部の知見を取り入れることも重要ですが、銀行のデータはやはり機密性が高く、漏洩リスクや改善スピードの遅さが課題でした。
そのころ私はMorgan Stanleyへ出向していて、あちらでは内製開発チームを設けて業務改善を繰り返すフローが自然に定着している姿を見たんです。これを当行でも実現できないかと考えたのが、イノベーションライン立ち上げのきっかけですね。新しくチームを立ち上げるからには、三菱UFJ銀行という大企業の中でもベンチャーのようなマインドを持って素早く課題解決に取り組みたいと思っていました。

──堀金はチーム設立に際し、AI・データ分析に不可欠な「DATA」の4文字を使ってチームバリューを具体的に示しました。

堀金DはDirect(直接的に)、AはAgile(素早く)、TはTransparent(透明な)、最後のAはAwesome(素晴らしい)──ユーザーと直接かつ密にコミュニケーションをとり、素早くソリューションを提供していくこと。
また、AIやデータサイエンスの分野は専門性が高くブラックボックスになりがちですが、ユーザーに対して透明性を持ってしっかり説明責任を果たしながら、信頼を勝ち得ていきたい。その上で、何かいいものができたらお互いに「素晴らしい」と言い合えるような環境をつくれたら──そんな意味を込めています。

──チームバリューを発揮し、組織への貢献をめざしてスタートを切ったイノベーションライン。しかし、チームの価値を行内に浸透させるには少し時間を要したとも言います。

堀金われわれが所属していたクオンツ開発グループ(2023/10/1付でデジタルICT推進グループへラインごと異動)は、基本的に金融工学の専門知識をベースに持った精鋭部隊。そのため、イノベーションラインがAIやデータサイエンスの専門性があることは、当初認知されていませんでした。
だから立ち上げ間もないころは、新規営業のような形でさまざまな部署に課題解決の提案をしていましたね。その一つひとつの成果によって、皆さんに必要性を認識してもらえるようになったのだと思います。

世の中の動きが「数字」に表れる
マーケット領域で
データサイエンスを極めるおもしろさ

──堀金が立ち上げたイノベーションラインに松本がジョインしたのは、2023年1月。松本は新卒で大手証券会社に入社してトレーダーを経験し、その後AIアルゴリズムの研究開発やソリューション開発を行うベンチャー企業に転職した異色の経歴を持ちます。

松本将来のキャリアを見据え、トレーダー以外の経験も積みたいと考えていたとき、友人がAIチームのトップを務めるベンチャー企業に誘われて転職したんです。当初は自然言語処理について研究したり、Web開発におけるバックエンドを担当したりという仕事がメインだったのですが、ベンチャーということもあり、気づいたら経営企画のような業務まで広く任されるようになってしまって(笑)。
データサイエンティストとしてもっと自分の市場価値を高めたい、加えてやはり前々職で関わっていたマーケット(市場)領域にもう一度携わりたい──そう思って転職先を探していたところ、縁あって堀金さんから声をかけてもらいました。

大企業からベンチャーへ、そして再び三菱UFJ銀行という大きな組織にジョインするにあたり、松本には“より大きなこと”に挑戦したいという決意がありました。

松本金融機関は社会経済の基盤であり、とくに国内最大の三菱UFJ銀行が良い方向に変わり、顧客企業の活性化に貢献できれば、日本経済全体が活性化していくと思っています。そうしたスケールの仕事は、ベンチャーではできない経験ですし、データサイエンティストとしてそこに挑戦してみたいなと。
また、マーケットという領域のおもしろさは、世の中のさまざまな動きが「数字」に表れることだと感じています。たとえば僕は金利の動きが一番興味深くて好きなのですが、金利こそ経済のベースであり、だからこそ中央銀行が意図的に動かす。
さらに政治や経済、その他諸々が反映されて1つの数字となり、そこから世の中の動きを読み取れるところにおもしろさがあります。前職で身につけたデータサイエンスやAIの専門知識を活かして、マーケット領域に貢献できればと転職を決めました。

──入行して約9カ月。松本は前職で培った専門スキルと、ベンチャー出身ならではの知見を活かして活躍しています。

松本従来の銀行のシステムって私からすると使いにくく感じることも多いですし、慎重さが求められる業界でもあるので開発スピードも正直まだまだ遅い。でも、イノベーションラインは社内ベンチャー的な組織をめざし、ベンチャー流にまずはいろいろ試してみて、失敗したら改善するというPDCAを素早く繰り返していこうとしています。
スピード感、失敗を恐れずまずやってみるというマインドなど、ベンチャーの良い部分を僕が持ち込んで、今後さらにチームに貢献していきたいですね。

お客さま視点の高精度なサービスや
プロダクトを、
スピーディーに生み出せる
チームに

──データサイエンスを強みに、三菱UFJ銀行のマーケット領域に新たなソリューションを提供し、存在感を高めていきたいと話す堀金と松本。イノベーションラインとして、今後の展望についてこう語ります。

堀金私たちのチームとしては、一つひとつの課題に対して単にモデルを提供するだけでなくて、業務高度化・効率化に向けて大きな変革を起こすようなサービスやプロダクトを開発していきたいと思っています。そのために、データサイエンティストに限らずソフトウェアエンジニアやインフラエンジニアなどサービス提供に必要なエンジニアリング人材を結集し、スピーディーに仮説検証を繰り返し、プロダクト開発を一気通貫で実現できるチームを構築したいと考えています。

松本内製チームとしてできるだけカバレッジを広げていきたいですよね。開発や変革を進める上で大切なのは「お客さまからはどう見えるか?」という顧客視点だと思っていて、まずはカスタマージャーニーを描いて動き始めた段階です。
また、銀行はどうしても縦割りになってしまう風土がありますが、新たなソリューションを生むには部署を越えた協力が欠かせません。われわれが橋渡しをする役割を果たして、課題を解決していけたらと思っています。

──理想のチームを築き、銀行全体のDXや新たな価値提供に貢献するために、次なる仲間の入行を心待ちにしている2人。三菱UFJ銀行でDX人材として働くおもしろさについて、次のように語ります。

松本銀行でDX領域に携わる魅力は、なんと言っても社会への影響力の大きさだと思います。金融や経済、社会全体を見渡しながら、世の中に大きなインパクトを与える仕事がしたい、という人にとってはこの上ない環境だと思いますね。
銀行というとお堅い真面目なイメージがあるかもしれませんが、イノベーションラインには和気あいあいとした雰囲気があり、働きやすさも抜群です。

堀金三菱UFJ銀行という日本一の銀行で自分の技術力を発揮することで、社会に広く影響を与える──これは大きなやりがいだと思います。技術的には、金融機関に求められる高いセキュリティレベルを実現するためのスキルが身につきますし、機密性が高く他では見られないような多様なデータを扱えるのは、データサイエンティストとして非常におもしろいですね。
イノベーションラインのように、大手金融機関の中にありながらベンチャーのように自由な挑戦ができる環境は珍しいはず。まだまだ新しいチームでもあるので、チームバリューに共感し、自ら積極的にチャレンジしてくれる方に来ていただきたいですね。

※ 記載内容は2023年11月時点のものです

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